Monday, January 11, 2010

快楽通りの悪魔
















「快楽通りの悪魔」デイヴィッド・フルマー
田村義進訳 新潮文庫 2004年発行


「人種差別さめやらぬ1907年のニューオーリンズ。外見は白人ながら黒人の血を引く異端の私立探偵ヴァレンティンは、娼婦ばかりを狙った猟奇殺人事件に巻き込まれる。現場には黒い薔薇が遺され、被害者全員が死の直前に彼の親友のコルネット奏者バディと会っていた…。」

舞台のストーリーヴィルは、1897年から1917年までニューオーリンズに存在したという娼館や賭博場、酒場がひしめく伝説の街。
  
緊迫感のあるストーリー展開もさることながら、主人公のクレオール探偵ヴァレンティンの鋭く醒めた観察眼を介して描かれるジャズ黎明期のニューオーリンズに強力に興味をかきたてられた。最近ニューオリンズにとても興味があるのでこのような作品が読めるのは嬉しい。

ストーリーヴィルのボス、トム・アンダーソン、ストーリーヴィルの娼婦のポートレートで知られる写真家アーネスト・J・ベロック、そしてジャズの創始者とされるバディ・ボールデンら実在した人物の配し方も見事。

解説によると作者のデイヴィット・フルマーは、雑誌にブルースやジャズに関する記事を数多く寄稿し、1920~40年代に活躍したブルース・ギタリスト、ブラインド・ウイリー・ジョンソンのドキュメンタリーフィルムを製作を行うなどの経歴を持つ、かなりの音楽に精通した人らしい。

ディテールにこだわりを感じる映画を見終えたかのような余韻を残す味わい深い作品。ニューオーリンズの音楽・歴史の興味のある人におすすめ。

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