
「逃切」 ディーン・R・クーンツ
菊池 光訳 創元推理文庫 1988年発行
スティーブン・キングと並び称されるモダンホラーの巨匠、ディーン・R・クーンツの初期の作品(原書は、1974年発行)
舞台は、1970年代のペンシルバニア州の競馬場。
タイトルもテーマもディック・フランシスの「競馬シリーズ」を彷彿させるし、翻訳もロバート・B・パーカーやディック・フランシスの諸作でのハードボイルドな名訳で名高い菊池光氏だ!これは 否が応にも期待が高まる!
「ギャサリンは、三六〇度、ゆっくりと向きを変えながら、その二本のカバの木の間の空地を慎重に見渡した。逃走係は、ここで合図を待つ。ここは見通しがきく。木陰に立つ。鳥のほか人っ子一人いない。完璧だ。」
冒頭の雰囲気もイイ!これはハードボイルドなクーンツの隠れた傑作かと意気込んで読んだ・・・!
しかし残念ながら、登場人物が多すぎるし、キャラの描写も今一歩踏み込めていないために物語の焦点がぼやけている。全体的に散漫な印象が否めない凡庸な出来。
ただ今のクーンツのスタイルの原型のようなものは随所に感じられるし、70年代的なザラっとした感触は楽しめた。
クーンツの若き日の記録という点では、興味深い作品。
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