Friday, March 19, 2010

神は銃弾

















「神は銃弾」 ボストン テラン
田口 俊樹訳 文春文庫 2001年発行

別れた妻とその夫をカルト集団に惨殺され、更に一人娘を誘拐された警察官ボブは、そのカルト集団の元メンバーで麻薬中毒から更生中のケイスの助けを借りながら犯人グループの追跡を開始する。

しかし、彼を待っていたのは、常軌をはるかに逸脱したアウトローたちが暴走するあまりにも殺伐とした世界だった。

ボブは、犯人グループに近づくために顔に刺青を入れ、カリフォルニアやメキシコの砂漠地帯を元ジャンキーのケイスと共に地を這うように追跡を続ける。

シンプルなプロットながら、物語に深く横たわる負の連鎖と深みのあるキャラクター造詣が複雑に絡み会い圧倒的な厚みを出すことに成功している。

いやーこれは紛れもない傑作。 この作品がボストン テランのデビュー作だそうだけど、早速ほかの作品も読みたくなった。

全くの余談だけど、読み進むうちにケイスのイメージがターミネーター2のリンダ・ハミルトン(サラ・コナー)になってしまった!

Saturday, March 13, 2010

タジ・マハール 「Music Fuh Ya'」












タジ・マハール 「ミュージック・ファー・ヤ 」 1977年発売

タジ・マハールが1977年に発表したカリビアンテイスト満載なアルバム。

先月買ったタジ・マハールのベスト盤に続き、もう聴きたくてしょうがなかった1枚。先日中古レコード屋でようやく購入。

スティール・ドラムの浮世離れした響きに有機的に絡み合うタジの独特の野太いスモーキーヴォイス!南国の波の揺らめきや風のそよぎが鮮やかに浮かび上がり、部屋の空気を一変させてくれる。

このアルバムが持つどこまでもリラックスした穏やかな心地良さは、どこかジャック・ジョンソンに通じるなあと思ったら、タジ・マハールの新作には、ジャック・ジョンソンが参加しているらしい。なるほど繋がる、すごく納得!

なんだかひどく得をしたような満足感が味わえる最高の逸品。

Saturday, March 6, 2010

ハイスクール・パニック
















「ハイスクール・パニック」  スティーヴン・キング
飛田野 裕子訳 扶桑社ミステリー 1988年発行

「5月のある晴れた日、ハイスクールの最上級生リチャード・デッカーは、教師二人を射殺し、クラスメイトを人質にとり教室に立てこもる・・一体何が彼を凶行に走らせたのか、そして彼の真の目的とは・・」

この作品は、キングの小説の中では最も古く、キングがまだ高校生のころの1966年に書き始められ、一度は、ボツになるものの何度か改稿が加えられリチャード・パックマン名義で1977年に発売されたもの。

当時、まだ10代だったキングの「若さゆえ」の勢いなのか、たたみかけるようなテンポと切れ味のあるプロットで一気に引き込む。

キング特有の饒舌な筆力は、既に発揮されているんだけど、まるでジム・トンプソンのようなユーモラスな狂気感が全編に漂っていて、いわゆる近年のキングらしさとは、一線を画しているように感じた。

初期のスティーブン・キングも侮れないなあ。

余談だけど、リチャード・スタークの「悪党パーカーシリーズ」が愛読書だった主人公の父親がリチャード・スタークの本名がドナルド・E・ウェストレイクであることを知りウェストレイクを1冊読んで見たものの気に入らず、

「それ以来、ウェストレイク/スタークにたいする父の態度は、ある晩ふいに自分に背いて、喉に噛みついてこようとした愛玩犬にたいするそれになった」

というエピソードが面白かった。(この作品も別名義!)

Thursday, March 4, 2010

ディクティターズ












ディクティターズ 「Go Girl Crazy! 」

ず~っと買いそびれていた元祖NYパンク、ディクティターズの1975年のファーストアルバム。

ぶ厚くラウドなツインギターとデリカシーのないワイルドなボーカル、激しくも70'Sアメリカンロック的なキャッチーな甘さが同居するな名曲の数々。

しかし、何てカッコイイんだろう!

この時代にしか出せない雰囲気が封じ込められている。
剥き出しな熱気と音圧、ロックバンドはこうあるべきと思わせてくれる。



















アフロ・ヘアーのボーカルの"ハンサム・ディック・マニトバ"の元プロレスラーという経歴、そしてメンバーたちのどことなく野暮ったいルックスがなんともいかがわしい。

こんな雰囲気のある連中が出す音がカッコ悪いわけがないね。大名盤。