Wednesday, April 28, 2010

雪に閉ざされた村

















「雪に閉ざされた村」 ビル・プロンジーニ
中井 京子訳 扶桑社ミステリー 1974年発行

「クリスマス気分が盛りあがる山間の村。そこは、さまざまな人生模様が交錯する、ひとつの小宇宙だ。だが、猛烈な吹雪で雪崩が発生、幹線道路は分断され、村は外界から孤立した。折悪しく、村はずれには秘密裏に3人の犯罪者が忍びこんでいた。その邪悪なリーダーは、住民全員を抹殺する、おそるべき計画を練りはじめた…果たして村人たちに生き残る道はあるのか?」

「名なしのオプ」シリーズで有名なビル・プロンジーニの初期の作品。

いくつもの伏線をじわじわと張り巡らせ、一気にたたみかけるように展開していくプロットが素晴らしい。職人的なストーリー展開の巧さが光る骨太なハードボイルド作品。

ちなみにプロンジーニは70年代にネオハードボイルドの流れに乗って、名無しの探偵を登場させ、現在に至るまで、多方面に渡る作品を発表し続けている作家。

彼の作品もウエストレイクと同じく絶版が多いのが悩ましいところ。古本屋で見つけたら迷わず買うことにしている。

Monday, April 12, 2010

ビリー・プレストン












ビリー・プレストン 「キッズ・アンド・ミー」 1975年発売

先日、ウオーラーさん宅でサタデー・ナイト・ライブ(以下SLN)のファーストシーズン(1975~1976)をまとめたDVDを観せていただいた。

SLNといえばジョン・ベルーシーやエディ・マーフィーなど世界的に有名なコメディアンを数多く輩出していることや大物ミュージシャン&大物俳優が出演することでも知られているけど、個人的にはなんといっても音楽ゲストに興味津々、普段なかなか見る機会が無いので(You tubeではまず見れない)とてもありがたい!

そんな1975年に始まったSNLの初回のゲストがビリー・プレストン。
















動くビリー・プレストンは、ビートルズ関連の映像くらいでしか見たことなかったけど、いきなり滅茶苦茶カッコイイ!エレピを自在にあやつりながら歌うビリー・プレストンは、もちろんなんだけど、バックバンドも最高にグルーヴィーで一発でノックアウト。

そんなわけでビリー・プレストンの1975年のアルバム「キッズ・アンド・ミー」を早速購入。

必殺ナンバー「ナッシング・フロム・ナッシング」やジョー・コッカーで有名な「美し過ぎて 」感動的な「リトル・ブラック・ボーイズ・アンド・ガールズ」など聴きどころ満載。

そういえばちょうどローリング・ストーンズの準メンバーとしてツアーに参加していた頃だなあとストーンズの76年のツアーパンフレットを引っ張り出してみたら・・
















ほぼメンバー的な扱い!すげー。






















1枚だけ持っているアルバム「That's the Way God Planned It 」(1969 ビートルズのLet It Be Sessionに参加後にリリース)も名曲だらけで大好きなんだけど、このアルバムは、勢いとアッパー感が違う、ビートルズとストーンズ、これは付き合う人間の差か?なんて思ってしまった・・!

なにはともあれ、聴けば元気になる最高のアルバム。おすすめです。
余談だけど、買ったCDがSHM-CDで高音質なのもうれしかった。

Friday, April 2, 2010

3月に読んだ本

3月は、確定申告や仕事で忙しく、あまりブログを書けなかった・・
3月に読んだ本の一言感想をまとめて。









「スカイジャック」トニー・ケンリック
上田公子訳 角川書店 1974年発行

ウエストレイクを彷彿させる軽妙なユーモアと奇想天外なストーリで楽しめた。トニー・ケンリックは、70年~80年代にかけて多くの作品を発表し人気を博した作家(らしい)。知らなかった。









「俺たちには今日がある」 トニー・ケンリック
上田公子訳 角川文庫 1985年発行

「スカイジャック」に続き再びトニー・ケンリック。「スカイジャック」に比べるとプロットはシンプル。軽い読み応え。









「チョコレート・ウォー」 ロバート・コーミア
北沢和彦訳 扶桑社ミステリー 1994年発行

学園を支配する秘密組織に反抗する少年の孤独な戦いを描いた作品。救ようのない結末は強烈な印象を残す。この残酷さと不条理感は、イギリスのミュージシャン、リチャード・トンプソンの世界感にに通じるなあ。映画化もされているらしい。









「ハンニバル」 トマス・ハリス
高見浩訳 新潮文庫 2000年発行









「ハンニバル・ライジング」 トマス・ハリス
高見浩訳 新潮文庫 2007年発行

未読だったハンニバルシリーズ。単純に面白かった。ジェフリー・ディーバーの諸作品もそうだけど確実に楽しい読書時間を提供してくれる作品って貴重だと思う。









「死のロングウォーク」 スティーブン・キング
沼尻素子訳 扶桑社ミステリー 1989年発行

リチャード・バックマン名義で発表されたキングの初期の作品。歩けなくなったら銃殺される青少年ウォーキング大会。「バトル・ロワイアル」の元になった作品。










「ロードワーク」 スティーブン・キング
諸井修造訳 扶桑社ミステリー 1989年発行

この作品も1981年にリチャード・バックマン名義で発表された体制に反抗し破滅していく男の物語。「タクシー・ドライバー」や「バニシング・ポイント」など70年代のニューシネマを彷彿させる作品で楽しめた。物語後半、主人公が愛聴するローリング・ストーンズの1969年のアルバム「レット・イット・ブリード」が効果的に使われるんだけど歌詞の翻訳がイマイチで小説の持つ雰囲気をちゃんと伝えきれていないのが残念。

原書の表紙 カッコイイ!